5.改正高年齢者雇用安定法
平成24年8月29日、平成16年6月に改正されていた「高年齢者雇用安定法」が以下のように再改正され、
平成25年4月1日より施行されます。
①来年4月から厚生年金の受給開始年齢が引き上げられるのに対応し、定年を迎えた後に年金も給料も受け取れない「空白期間」が発生するのを防ぐこと。
②企業側が事実上、再雇用する対象者を選別できる今の仕組みを廃止すること。
従前の「改正高年齢者雇用安定法」では、 急速な高齢化の進行等に対応し、
高年齢者の安定した雇用の確保等を図るため、事業主は、
(1)定年の引上げ
(2)継続雇用制度(希望者を定年後も引き続いて雇用する制度)の導入
(3)定年の定めの廃止 のいずれかの措置を講じなければならないこととするとともに、
高年齢者等の再就職の促進に関する措置を充実するほか、定年退職者等に対する臨時的
かつ短期的な就業等の機会の確保に関する措置の充実を図ることを内容とされていました。
しかし、(1)、(2)には、平成18年4月1日施行日から65歳に設定する必要はなく、段階的な年齢の
引き上げること、対象となる高年齢者に関わる基準について労使協定をすることが認められていました。
今回の改正は、急速な高齢化の進展等に対応し、高年齢者の安定した雇用の確保等を図るため、
継続雇用制度の対象となる高年齢者につき事業主が基準を定め、当該基準に基づく制度を導入した
ときは、継続雇用制度を導入したものとみなす措置を廃止する等の必要から行われました。
改正のポイントは、以下の通りです。
(1)継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止
(2)継続雇用制度の対象者が雇用される企業の範囲の拡大
(3)義務違反の企業に対する公表規定の導入
(4)「高年齢者等職業安定対策基本方針」の見直し等
(5)その他
厚生労働省によりますと、この継続雇用制度を導入している企業は、約11万社、うち労使協定適用会社は
約6万2千社(56.2%)とのことです。
貴社はいかがな制度になっておりますか。 労使協定適用会社の経営者及び上場準備担当者は、以下に留意
していくことが必要です。
(1)施行日以降の高年齢者対応 厚生労働省は今後、勤務態度や健康状態が著しく悪い人を
対象外にできる指針を作る方針となっているので開示に留意が必要。
(2)継続雇用者対応 経過措置の確認が必要。
(3)人事制度の見直し 高年齢者の雇用増加による賃金負担に基因する賃金制度の見直しだけでなく、
若年齢労働者を含めた抜本的な人事制度の構築が求められるのではないかと思われる。