今回は、改善報告書より、実際の事例と問題点を探っていきたいと思います。
それでは早速、改善報告書の事例を見ていきましょう。
【改善報告書の概要】
社内会議において、売掛金、棚卸資産の見直しが指示され、特定の販売先に対し、毎月の売上高に対する売掛金比率が高いことが判明。
担当の元社員に事情を聞くと、倉庫会社と共謀し、架空売上、架空在庫の実態が明らかになる。
これは、自社社内システムから、販売先へ直接送付される社外請求書と、社内売上伝票の照合機能が働いていない点を悪用し、元社員が請求単価、数量を水増しした上で売上明細を作成し、売上入力させていた。
また、元社員は、単価訂正と偽って売掛金を一旦取り消し、新たに計上しなおすことで、売掛金の滞留調査から逃れていた。
売上計上に対して、対応する帳簿在庫を引き落とす販売管理システムであったため、架空の売上に対する簿外在庫については、元社員が倉庫会社に在庫報告書の改ざんを依頼したな卸し監査時の発覚を逃れていた。
また、簿外在庫を指定外倉庫に保管するよう、仕入れ業者、倉庫会社に指示して、簿外在庫の数量減少を行っていた。
【動機】
・元社員による横領目的であった。
【主な原因】
・ 元社員の上司が、売上、仕入、在庫にかかる承認行為をしておらず、元社員が単独で取引が完結してしまう状態であった。
・ 売掛金の増加についても、倉庫会社の納品伝票不備、請求書未着による支払い遅延との誤った認識をもち、不信感を抱かなかった。
・ 販売先から、当社に対する出荷指図が口頭ベースで行われていたことで、当社は指定先以外への出荷が可能になっていた。
そもそもの原因は、元社員の横領が目的ですが、この会社の改善報告書を読む限りでは、受注~売上計上~出荷に関連する業務フローに問題があったようです。
例えば、売上、仕入、在庫にかかる業務について、特定の社員に任せきりにして、相互牽制が利かない状態であったことです。
これでは不正行為の温床ですね。
この他にも、この会社の改善すべき点、再発防止策はどのようなものがあるでしょうか。
みなさんも考えて見てください。