「経営のヒント」とは様々な企業で発生している悩み、問題点を取り上げて、その原因、改善案をコメントしていきます。また、その改善案がすべての企業に当てはまるとは思っていません。企業経営において1つのヒントになればと考えています。
気楽な気持ちでお読みください。
第1回 不正行為
上場企業の提出した改善報告書を参考に、業務改善を行う上でのポイントや、内部監査を行う上での視点、内部統制に関連する各業務におけるリスクについて、事例を用いて分析していきたいと思います。
内部統制の担当者になったのはいいが何をしたらいいか分からない、内部監査の担当だが、どのような視点で監査項目を作成したらよいか分からないという方の参考になれば幸いです。
最初に、改善報告書とは、簡単に言えば「過去の有価証券報告書を遡って訂正した」場合や、「適時に開示しなければいけない開示を怠った」という上場企業に対し、その経緯や再発防止策を取引所に報告させるものです。
取引所の求めに対し、上場会社が改善報告書の提出をしない場合や、改善報告書を提出したにも関わらず会社情報の開示の問題がなお改善の見込みがないと取引所が判断した場合は、上場廃止となってしまいます。
それではなぜ、有価証券報告書を遡って訂正するのでしょうか。
過去の有価証券報告書の訂正をする理由として考えられるのは、単純な経理処理のミスがあったことが後からわかった、もしくは不適切な取引の存在があったのが大半です。
このような訂正があったということは、内部統制上問題があったということになります。
しかしよく考えてみてください。
これからご紹介する事例は、すでに上場した企業が起こした不祥事です。
上場する時に厳しい審査を通っているはずではないのか?内部管理体制は構築されているのでは?とお考えの方も多いと思います。
現実は、不適切な取引による決算訂正が意外に多いのも事実です。
上場後すぐに粉飾決算が発覚して、消えていった会社もありました。
これは私の考えですが、立派な内部統制制度を導入しても、不正行為を抑止することはできますが、不正行為をなくすことは出来ないと思います。
なぜならば、そこで働くのは社員(人間)であり、その心の中までは縛ることはできないからです。
改善報告書を読んでいると、不適切な取引を行った動機も書かれていますが、その多くが過大な目標設定に対するプレッシャーによるものです。
内部統制の問題は、企業風土を変えない限り、解決しない問題でもあると考えます。
次回は、出荷業務に問題のあった会社の事例を取り上げてみたいと思います。
特定の販売先に対し、毎月の売上高に対する売掛金比率が高いことが判明。
担当の元社員に事情を聞くと、倉庫会社と共謀し、架空売上、架空在庫の実態が明らかになりました。
何が問題だったのでしょうか。